「共感できない」を克服!ヒントは感受性が強い人と乏しい人

コミュニケーション

こんにちは。
心理カウンセラーの幸跡です。

共感できないこと、感受性が乏しいと感じること。どちらかひとつの悩みを抱える人は、往々にしてもう一方の悩みを隠し持っています。どちらにしても、どこか人間味に欠けるような、冷淡さや無感情さを連想させるものがありますよね。

そういった部分に対して不安を感じながら、日常を充実して過ごす周りの人たちと比べてしまったりして、見て見ないふりをしたり苦しくなってしまうこともあるのではないでしょうか。

感受性や共感とは何なのか、またそれぞれの関係や、感受性を豊かにし共感力を高めるためにはどんな考え方やどんな毎日の過ごし方が必要なのか。今回もじっくり考えていきたいと思います。

共感できないことも、感受性が乏しいことも、悪いことでもないし他人に責められるようなことでもありません。ただ、それによって自分が苦しい思いをしているのであれば、それは悪いことであり改善すべきポイントです。今回の記事がその脱却のための一助になれば幸いです。



感受性が乏しい=共感できない

本や映画などを見ても何も感じない、周りの人たちが楽しそうに話していても興味が持てずその輪に入ることができない、賞賛や叱責など自分に対する評価を受けてもどこか他人事のように感じる。そんな体験から「自分は感受性が乏しいのではないか」と心配になったり悩んだりする人もいると思います。

そもそも感受性とは何なのか。それは平たく言えば「周りの環境・状況に対してどれだけ影響を受けるか、心が動くか」です。同じ映画を見ても笑ったり泣いたり勇気が湧いたり嫌な気持ちになったりする人もいれば、特に心が動かず何も感じない人もいます。簡単に言えば、前者が感受性が豊かな人、後者が感受性が乏しい人です。

感受性が豊かすぎる人は疲れないようもう少し鈍感な性格を求めるし、感受性が乏しい人はそれに機械的・無機質さを感じもっと人間らしさを求めます。このどちらが良い悪いということはなくそれぞれメリット・デメリットがありますが、これを良し悪しで考えてしまうと毎日が非常に辛いものになります。

◆「共感」は当たり前?

では、この両者の間にある大きな違いとは何なのでしょうか。どうして同じ映画を見て笑ったり泣いたりする人がいる一方で、何も心が動かない人もいるのでしょうか。その違いに大きく関わるのが、「共感力」です。

「共感」は日常でも至るところで使われる言葉で、どこでもその大切さが伝えられています。ただ、あまりに日常化し常識や文化となってしまうと、それは深く考えられることがなくなりその“当たり前“だけが残り形骸化されてしまいます。

この「共感」もその内のひとつであり、この共感ができないことが感受性の乏しさに繋がっていきます。次から詳しく見ていきます。

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感受性に大きく関わる「共感力」

どうして感受性には共感力が関わるのか。それを理解するために、まずこの共感の意味から考えていきます。たとえば、友人からこんな内容の悩みについて相談されたとします。

「人生のすべてと感じていた恋人にフラれてしまい、もうどうすればいいのかわからない。」

ここでたとえば「すごくわかるよ」「自分が同じ立場でもそう感じていたと思う」などと返すこと。これは共感ではなくただの同調です。

また「かわいそう」と思ったり、元気づけようとして「大丈夫!またすぐいい人が見つかるよ!」など励ましたりすることもありますが、これも心から共感ができているならそんな同情や軽はずみに元気づけるようなこともできないと思います。

◆本当の共感

同調や同情と共感の違い、それは「自分の目で見て感じているか」「相手の目で見て感じているか」の違いです。自分の人生のすべてとまで感じていた存在を失った状態、そしてどうすればいいのかわからず何も考えられない状態。もし自分が本当にそんな状態のとき、軽はずみに「大丈夫だって!」なんて肩を叩かれたりしたらどう感じるでしょうか?

もうひとつ別の例でみてみます。

食事中にふと貧しい国の子どもが出てくる番組を見て、このとき「その国の子どももろくに物を食べられないのだから自分も食べるのをやめよう」と考えた。

これは共感と言えるでしょうか?

自分の目で見てその国の子どもたちを不憫に思い哀れに感じ、だから自分も食べるのをやめる。これも共感とは言えません。自分はいつでも食べることができるという安全の中で、その子どもたちに哀れみを感じて同情しているだけです。

本当に共感ができているなら、その子どもたちの目で見ることができるなら、不自由なく食事ができる恵まれた環境に感謝して米粒ひとつ残さずしっかり食べるべきなんです。

先ほどの映画の例もそう。自分の目でそのキャストやストーリーを見ているのか、それとも映画の中のキャストたちの目でそのストーリーを見ているのか。この程度の違いがそのまま感受性の程度になっていきます。

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◆共感の度合いは感受性の度合い

人間はどんな人でも主観的に物事を見て、自分の認知を通して状況を判断したり把握したりします。そしてどんな事実もそれがその人の”真実”となります。だからプレミアがつき高値で売買される商品も、ある人には宝物になりある人にはただのガラクタになり得ます。

なので他人やその状況に共感するのは本来簡単なことではないしとても訓練が必要なことなんです。だからこそ共感を形骸化させずに、その意味や方法をもっと深く考えなければなりません。

「人生のすべてと感じていた恋人にフラれてしまった。もうどうすればいいのかわからない」。そう友人から相談されたとき、本当に共感できているなら、その友人の目で今の状況や世界を見る努力ができているなら、行動として現れるのは「かわいそう」と同情することでもなければ「大丈夫」と励ますことでもありません。

ただ一緒にいてその友人が今どんな風に世界が見えているのかを理解しようと努力することだけです。その過程で出てくる目線やトーンの変化や姿勢、ちょっとした感嘆詞や沈黙、「もう自分の人生が終わったような感じなんだよね」という寄り添いなど、それが本当の共感として相手に伝わるんです。

そしてそのとき自分が感じている悲しみや辛い気持ちの度合い、それがその人の感受性の度合いになります。

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感受性と共感の関係

先ほど感受性とは「周りの環境・状況に対してどれだけ影響を受けるか、心が動くか」という風にお伝えしましたが、ここまで共感について考えてみると色々と見えてくると思います。

感受性とはどれだけ周りの環境に影響を受けやすいか、それはつまりどれだけ周りに共感ができているか、周りの人や状況の中に自分の身を置いてその中から現状を見ることができているかということ。

ざっくり言ってしまえば、自分の目で見れば見るほど感受性は乏しくなり、相手の目で見れば見るほど感受性は豊かになるということです。

本や映画を見ていて、その主人公の目線でその世界を眺めることができれば、その分喜びも感動も不安も恐怖も自分ごとのように大きくなります。周りの人たちの楽しそうな会話も、その人たちの目で見てその輪の中に入ってみると何が楽しいのかがわかってきます。

賞賛や叱責などもそう。褒められたり叱られたりしている自分ではなく、褒めたり叱ったりするその相手の目で状況を見る努力をすると、その人からのメッセージを感じとることができます。

叱られてやる気が出る人と落ち込んでしまう人がいますが、やる気が出る人はそこに期待や成長というプラスのメッセージを、落ち込んでしまう人はそこに失意や否定などのマイナスのメッセージを強く受け取っているのかもしれません。

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共感力は生まれ持ったものではない

感受性とは人間の性格であり、ひとつの特性です。なので「感受性が豊かな人になる」と考えると難しく感じられるかもしれません。ですが、ここまで見てきたように感受性とは共感力によって左右するもの。

そしてこの共感力というのは生まれ持ったものではなく訓練次第で身につけられる技能・スキルです。つまり、共感力を鍛えることでどんな人でも感受性豊かな人にはなれるんです。

ではその共感力を鍛えるためにはどうすればよいのか。それはつまり「相手の目で見て、耳で聴いて、心で感じるためにはどうすればいいか」ということ。そのためのベースとなるのは、常に“関心の位置”を意識することです。



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関心の位置を意識する

たとえば先ほどの友人からの相談の例。あの内容を自分に関心を置いた状態で考えると、出てくる言葉はすべて同情的なものになります。

「かわいそう」と思うのは、一見相手を見ていそうで見ているのは自分。何を見ているかというと、自分の安定している状態です。なのでそこから比べて不安定な状況の相手に哀れみを感じます。

「大丈夫!すぐにいい人が見つかるよ!」と声をかけるのも同じように、前提として見ているのは今大丈夫な自分です。それではいくら相手を思っていても、“大丈夫ではないという状態“がどういうことなのか理解することはできません。それは暖かい部屋の中から大雪の中一歩一歩進む人を応援するようなものです。

◆相手の内側から見る世界

そうではなく、あくまで関心を相手に置いてこの人はどう考えどう捉えどう感じているのか、そこをひたすら理解しようと努めます。その人の内側から世界を見てみようと努力します。

そのために必要な「つまり○○ということ?」という質問や、「○○が辛かったんだよね」などうまく言い表せられない感情を明確にしてあげたりなどのコミュニケーションは、共感の姿勢があればそのすべてが相手に”共感”として伝わるし自分の感受性の豊かさにも繋がっていきます。

中には遺伝的に生まれつき共感力が高い人、または育った環境から高い共感力が身についている人もいると思いますが、多くの人はそうではありません。そしてこの共感力を鍛えるというのは、いわば筋トレやダイエットと同じように継続して行い身につけていくものなので、一朝一夕で身につくものでもありません。

◆感受性を刺激するもの

また繰り返しになりますが、人間は自分の主観や思い込みからは抜け出すことはできず全てのことをその枠組みの中で判断したり把握したりします。なので他人に100%共感するということは不可能です。

それでも、相手が見ている世界をあたかも自分も同じように見ようとする。その努力をする姿勢こそが共感であり、その共感力をもって人の感受性は豊かになっていくのだと思います。

自分だけの主観を持つ“私”という人間が、相手の目で見て耳で聴いて心で感じる努力をする。それが共感。これは生まれ持った才能でもないし選ばれた人にだけ与えられた特権でもありません。楽器が弾けるようになる、英語が話せるようになる、それと同じように訓練次第で身につけることができる技能です。

感受性が乏しいと悩んだり心配になる人は、まずその前提となる共感する力に目を向けてみてはいかがでしょうか。

話を聴くときやそれに対して回答をするとき、一度自分の関心を相手に置きます。その上で、その人が見ているだろう景色や感じているだろう情動に目を向けながらコミュニケーションを取る。そうすることで自分の中に入ってくる情報の質が変わり、自分の心の動き方も変わってくることに気づけると思います。

そしてそれは必ず自分の感受性を刺激し、少しずつ豊かなものに変えてくれます。

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最後に

感受性が豊か、感受性が乏しい、共感力が強い、共感力が弱い。それぞれメリットもありデメリットもあります。これらはそれぞれ別の場所にある別のものではなく、一本の直線状にありすべては”程度の問題”です。更に良し悪しで判断したりどちらが正しいというものでも決してありません。

なので本来、感受性が豊かであっても乏しくあっても、「それが自分自身」と胸を張れるのが一番健全な姿でしょう。ただ、「これが自分だ」と心から思うためには勇気や活力も必要になり、「感受性が乏しい」「共感することができない」と感じる自分としっかり向き合う必要もあります。

そんなとき、今回の記事が少しでも手助けになれば幸いです。繰り返しになりますが、共感力も感受性も、日々の暮らしの中でしっかり身につけ向上を実感できるものです。

あなたの日常がもっともっと色味のある景色となるよう、応援しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。



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