こんにちは。
心理カウンセラーの幸跡です。
いつも人のせいにする、責任転嫁をして平気な顔をしている。周りにもそのような人がいるかもしれません。そういう人とはあまり積極的につき合いたいとは思わないですよね。
どんな行動にも必ずその人なりの理由があります。「人のせいにする」ということも例外ではなく、必ず何かしらの理由があって行われています。今回は人のせいにしてしまうのはなぜなのか、そのとき人はどんな心理状態なのかなどについて、ひとつひとつ掘り下げて考えてみたいと思います。
「ついつい人のせいにしてしまう」と感じている方も、身近にそういう人がいてどう対処すればわからないという方も、ぜひ今回一緒に考えてみてもらえたら嬉しいです。
目次
なぜ人のせいにしてしまうのか
それが意識的なものでもそうでなくても、人のせいにしてしまうことにはある理由があります。そしてその理由は思っているよりずっとシンプルなもの。
先に結論から言ってしまうと、それは「自分がすべきことをしていないから」です。なぜこれが理由となるのか、順を追って考えてみます。
◆人のせいにしてしまう理由
こうして自分のすべきことをしていないことで、成長もできず自分の価値も実感できず、更にまた自分の責任を他人のせいにするという悪循環に陥ります。ちなみにここで言うすべきこととは、何か大きな仕事を成し遂げるとか困っている人を救うとか、そういった大きな話ではありません。
たとえば朝ちゃんと起きる、遅刻せずに仕事に行く、あいさつをする、電話に出たりメールの返信をする、頼みごとを引き受ける、行事に参加するなど日常で起こる普通の出来事です。
◆人のせいにする必要がないことに気づく
今度はこれを逆にたどってみます。
自分のすべきことと向き合い乗り越え続けることで、自信が生まれ価値を実感し、自分が必要な人間と思えるようになります。自分が必要な人間だと思えるとき、そのとき周りにいるのは味方と感じられる人たちです。敵に囲まれながら自分が必要な人間と思える人はいないですよね。
面倒ごとを背負ったり苦労をしたくないのは、その結果傷ついたり恥をかいたり自分だけがつらい思いをしたりすることを恐れるから。でも周りを味方と感じられるなら、傷つけられることを恐れる必要もありません。面倒ごとや苦労に対してもっと積極的に成長のチャンスと考えられるようになります。
なぜ「すべきこと」から逃げてしまうのか
それではなぜ自分のすべきことがわかっていても、その課題から逃げてしまうのでしょうか。それはその人に能力がないからではありません。ただ、その課題と向き合う活力が失われているだけなんです。
やる気や生気、モチベーションやバイタリティなど言い方は様々ですが、その課題に向き合いこなしていこうとする活力が失わてしまっていることが最大の要因なんです。
◆活力の素は「役に立っている」という実感
人間は自分が誰かの役に立っている、自分には価値があると思えるときに生きる活力が湧いてきます。逆に何の役にも立てない無価値な自分を実感してしまうと、急速に活力は衰えまるで自分が何もできない無能な人間のように感じてしまいます。
そしてここで重要なのは、「役に立っている立っていない」を決めるのは他人ではないということ。自分がどんなに人の為になるだろう行いをしたとしても、それが本当にその人の為になっているかどうかはわかりません。
実際に誰かの役に立っているという事実ではなく、あくまで主観的に「誰かの役に立っている」という実感がもてること。ここからしか本当の自分の価値にはつながりません。相手がYesと言ってくれたら自分には価値がある、Noと言われれば価値がない。自分の価値はそんな風に他人の物差しで決められるものではないんです。
◆価値を実感するための協力・貢献
では主観的に「誰かの役に立っている」と実感するためにはどうすればよいのか。それは自主的に他人に協力しその組織に貢献していくしかありません。仕事で周りが力を入れていることを自分も頑張ってみる。家庭の行事があるなら、積極的に参加し手伝ってみる。
見返りを求めたり自分を認めてもらうためではなく、あくまで自分が「誰かの役に立っている」と実感するために協力・貢献をするということです。これは今回のテーマとなっている「人のせいにする」とは真逆の動きです。つまり人のせいにすることは、最終的に自分の価値を奪い活力を失わせどんどん孤独を招く行いということなんです。
人のせいにしてしまうのは自分のすべきことから逃げてしまっているから。すべきことから逃げてしまうのはその課題を乗り越えるだけの活力がないから。その活力が湧かないのは、自分が「誰かの役に立っている」という実感が持てないから。
こうして掘り下げていくと、人のせいにしてしまう人の心理やその要因などが見えてくると思います。誰だって自分が必要とされていないと感じれば、何かをしようという活力も湧かないし、積極的に問題に立ち向かおうという気持ちにもならないですよね。
ここまでをまとめると、人のせいにすることをやめるためには「誰かの役に立っている」と実感し自分の課題を乗り越えるための活力を得ることが必要ということになります。複雑に捉えずにどうすれば自分で自分の課題を乗り越える活力を得ることができるのかだけを考えます。
人のせいにしないために必要なこと
自分の課題を乗り越える活力を得るためには「周りに協力・貢献し主観的に誰かの役に立っていると実感すること」が必要。しかし、これを実行することは簡単ではありません。
それはその大前提として周りの人たちを信頼できる仲間・味方であると感じる必要があるからです。信頼できる味方に対しての協力であれば惜しむこともなく苦でもないはずです。ただ相手を敵だと思いながら協力や貢献をしようとすると、その行いは偽善的であり、いずれは被害者意識を生んだり見返りや評価をもらえないことに憤りを感じるという結果を招きます。
なので本当に自主的な協力や貢献をしようと思うとき、その対象は信頼できる仲間・味方である必要があります。ですが、この相手を仲間と感じるというところが難しいところ。
それは小さい頃からの教育、ニュースやエンターテインメント、隣の人との会話など、あらゆるところで世界は危険なところで他人は隙あらば騙し攻撃してくるものだということを徹底的に叩き込まれるからです。
◆自分を好きでいるかどうか
ひとりでは生きていけない人間、お互いを信じて役割分担をして互いに支えあわないとこの世界を生きていけない人間。その摂理と矛盾するように、小さい頃から「世界は危険なところだ」「他人は信じるな」「自分の身は自分で守れ」と教育されてきます。
そんな中で他人を心から仲間と感じ味方と信じ切ることはとても困難なことです。ただここで忘れてはいけないのは、それは実際の世界がどうかではなく、自分がその世界をどう見ているか次第だということです。つまり自分次第で変えていくことができるということです。
他人は信頼できない、世界は危険なところ。大多数がそう考えてしまう中、他人を信頼し安全な世界の中で暮らしていると感じている人たちがいるのも事実です。ではその人たちの違いは何なのか。
その違いはひとつだけ。「自分が自分を好きでいるかどうか」です。なぜ自分を好きになれると他人を信頼し安全な世界を実感できるのか、次から少し掘り下げていきます。
◆自分を好きになることで得られるもの
これは先に逆を考える方がわかりやすかもしれません。自分を好きになれず不完全な自分を認めることができない人。そういう人は、常に周りからの攻撃や批判を恐れます。未熟で不完全な自分だから、常に周りは騙そうとしたりバカにしたりするのではないかという心理状態です。
これでは他人を信頼できないのは当然。世界だって危険な場所に映ります。逆に自分を好きでいれる人はどうでしょうか。
自分で自分を好きになれる人は、まず絶対的に自分を認め受け入れています。完璧な自分ではなく、不完全で成長途中の自分を理解して受け入れています。自分にできることできないこと、そして自分と他人は違うということがはっきりわかっていて、そしてそれが自分の価値を決めるのではないということもわかっています。
となれば、他人を信じない理由がなくなります。他人からの嫌味や批判も、尊敬や信頼の前提で聞くので「この人はそういう考え方をするのか」と自分の中にためこむことがありません。それは自分を攻撃しているのではなく、その人の考え方やひとつの意見として捉えるようになるからです。
また自分を好きな人は基本的に自分のことを信頼しています。相手からの嫌味や批判も、それが自分にとって必要なものかどうかをしっかり判断できるということです。必要なものであれば自分の考え方や行動に生かす。不要なものであれば聞き流す。
そしてもし本当に必要なものであるなら、それは嫌味や批判ではなく立派なアドバイスであり助言になります。
自分を好きでいるかどうか。これは周りの人たちを信頼できる仲間・味方であると感じるために大切なことで、それが結果的には人のせいにしてしまう自分を変えていくことに繋がるんです。
この内容は本線とずれているように感じるかもしれないですが、今回のテーマである「人のせいにしてしまう」状態から脱却するために必要な考え方です。自分を好きになる、自分の価値を実感するにはどうすればよいかということについては、また更に重要で長くなってしまう内容なのでお時間があるときにこちらを参照していただけたら幸いです。
最後に
人のせいにしてしまう。それがついうっかりであっても打算的なものであっても、それは自分がすべきことをしていないために自分の価値を実感できないというところに理由があります。
なぜすべきことをしないかというと、その課題と向き合うだけの活力を失ってしまっているから。そしてその活力の素となるのは「誰かの役に立っている」という実感。
まずは自分を好きになり、他人は信頼するもの、世界は安全な場所という見方へと変えていく。そしてそんな他人や社会に積極的に協力・貢献し、自分が必要で役に立っている人間であることを自覚する。そうしてようやく自分のすべきことと向き合えるための活力、生きるための活力を得られる。
すると自分の失敗や責任を自分で乗り越える必要性を十分に理解できるので、他人のせいにするという発想はなくなります。逆にそれらを成長のきっかけと捉え積極的に向き合っていけるようになります。
孤独や活力の低下を招く「人のせいにする」という行動。次にその顔が出そうになったとき、今回の内容が背中を押せたならとても嬉しいです。人のせいにしてしまう状態を脱却できること、そして活力に満ち幸せに満ちた毎日を過ごせることを願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。