こんにちは。
心理カウンセラーの幸跡です。
誰かに相談するときに感じる不安や緊張や恐怖。多くの方が経験していますよね。ただ中にはそれが深刻となり、日常の多くの部分に支障をきたしてしまう人もいます。
どうして人に相談をしようとするときにネガティブな感情が生まれてしまうのか、そしてそれと向き合い付き合っていくためにはどうすればよいのか。
今回はそんな内容について考えていきたいと思います。大切な悩みを誰かに相談する一歩を踏み出す勇気や活力となれば幸いです。
目次
人に相談できない自分を拒絶しない
この記事を見てもらっているということは、おそらく大元の悩みがあり更にそれを人に相談できないという悩みも加わり、とても辛い状態なのではないかと思います。
悩みがあるから相談したいと思っているのに、相談ができないことで更に悩みが増えがんじがらめのように感じてしまいますよね。
拒絶するように見てしまう自分自身
人に相談ができないと感じてしまうとき、一般的にこんな理由が考えられるのではないでしょうか。
・悩みや問題を打ち明けるのが恥ずかしい
・面倒くさい人と思われたくない
・否定や批判をされるのではないか不安になる
・自分が弱い人間のように思える
これらはすべて今の自分を受け入れられず拒絶している状態です。誰にも相談できないと感じるとき、意識的には相手の態度や反応について見ているようでも、実は本当に見ているのは自分自身のこと。しかも今の自分のことを拒絶するような形で見ています。
実在する自分を受け入れる
このように今の自分のことを否定しているときは、出てくる感情はすべてネガティブなもの、マイナスなものになります。
人間の心理過程として、何か行動に移る前には必ずそのきっかけとなる感情が生まれています。なのでこのようにネガティブな感情を抱えたまま「誰かに相談する」ということが、どれだけハードルの高いものかがわかると思います。
自分は小さな人間で情けなく未熟なところもある。だからこそ弱く悩みを抱えてしまうこともある。まずはここを全面的に受け入れて、「これらも確かな自分の一部分」と認めることが何よりも重要になります。
今の自分を拒絶せず、誰かに相談できずに悩んでいる自分も実際に存在する自分なんだということを積極的に受け入れるということです。
人に相談できないと感じるときの心理
ただ、これらはそう簡単なことではありません。なぜなら、人は現状に適応できていないと感じると、心の働きとして無意識的に自分を守る方向に向かうからです。
そこには善悪や道徳的な基準はなく、あくまで自分が何らかの形でその状況に適応できるように都合よく働きます。
自分を守るための心の働き
たとえば他人に認めてもらえないと現状に不適応を感じている人は、「別に認めてもらえなくてもいい」と気持ちを押し殺すかもしれないし「向こうに認めるだけの能力がないからだ」と相手のせいにするかもしれません。
また自分のせいで他人や組織に迷惑をかけてしまった人は、「自分のせいではない」と開き直ったり「仕方なかった」と正当化をしようとするかもしれません。
それが良い悪いという話ではなく、そのようにして自分を守り現在感じている不適応の状態から抜け出そうと心が働きます。
今回の「人に相談できない」という内容もそう。先ほどの例のように今の自分を拒絶し認めないことで、今の不適応な状況になんとか適応しようとします。つまり、未熟で弱い自分を否定し続けることで「相談できない状況」を正当化する努力をするということです。
情けなく弱い、未熟な自分の一部を認めなければそれを相手に伝えることはできません。本音を話すこともできません。
統合されることで向かう適切な行動
このように、誰かに相談ができないという悩みには弱い自分を拒絶して否定することに大きな努力を費やしているため、適切な行動が見えなくなるという本質があるのではないかと思います。
これらの心の反応はどれも人間に備わっている自然なものであり、だからこそ意識的に向き合い積極的に自分の弱い部分を迎え入れてあげる必要があるんです。
どの部分も自分の一部と認められる、そして他人も同じように完璧な人などいないと思える。そのように統合された人は、何かから自分を守る必要もなく安全の中で自然と適切な行動へと歩んでいけます。
誰かに相談することに対する不安や恐怖も、「人間なら当たり前のもの」であり、でも「本当は不必要なもの」として捉えられるようになります。
「相談できない」ときの本当の目的
では、そのように今の自分をしっかり受け入れていくにはどうすればよいか。ここでヒントとなるのが、「人に相談できない」と感じるときの本当の目的を知ることです。
相談しないためにはどうすればいいか
最初に、相談”できない”のではなく”したくない”自分がいることをしっかり認識します。
先ほどの例であげたような「悩みや問題を打ち明けるのが恥ずかしい」「面倒くさい人などと思われたくない」という理由は、相談をしないためにはどうすればいいかという無意識的な部分が必要としている口実であり正当化です。
恥ずかしいから相談しないのではなく、相談したくないから恥ずかしいという感情を引っ張り出して使っているということです。
今の自分を受け入れるために必要な絶対条件は、それが自分でコントロールできるものであること。恥ずかしさや情けなさという感情がどうしても生まれてしまいそれには抗えないと思うとき、それはもうどうしようもありません。その感情に支配され、いつまでも行動に移すことはできないと思います。
ただ、まず前提として「相談したくない」自分がいて、その口実として恥ずかしさや情けなさという感情を使っているとしたらどうでしょうか。心の中ではなく、相談相手に向けてその感情をぶつけることで「相談できない自分」をつくり出しているとしたら。
本当に相談”したい”のであれば、それらを使う必要はなく、そしてそのコントロールはいつでも自分でできるものということに気づけると思います。
自分の人生をコントロールする
そしてそれは、弱く未熟な自分を受け入れられた瞬間にもなります。人は自分を守る必要がなく、心理的に安全な状態でいるときにおいてのみ、今まで否認してきた部分やあまりに理想化したり歪んで捉えていた部分を探索して正しい認知に変えていくことができます。
さらに言えば、それは弱さでなく強さです。自己効力感という自分の感情や人生を自分でコントロールできていると思える、人としての強さなんです。
今回の相談できないという問題に限らず、また次の問題が起こったときにも自分の力で解決する活力や他人に頼る勇気に必ず繋がっていきます。
相談できないのではなくしたくない自分がいて、そのための口実として色々な感情を持ち出し使っていること。そして自分の中に本当は弱く未熟な部分があるということを積極的に認め受け入れる強さを持つこと。
いつでも自分が自分の人生を選択し行動に移しています。いつでも自分がその鍵を握っています。誰かに相談できないと自分の殻にこもってしまうとき、ぜひそれを思い出してほしいと思います。
最後に
人に相談するときに想起される様々な感情。不安や緊張、恐怖や抵抗、恥ずかしさに情けなさ、劣等感や不信感など、これは誰もが感じるもので社会の中で生きる人間には当然のもの。
そしてそうした現状への不適応を、自分を否定したり逃避したり正当化したりまた別の何かで補ったりすることで何とか心理的な適応を保とうと努力します。
それも自然な心の働きではありますが、結果的に不適切で不健全なものとなり問題解決には結びつかないものばかり。
ただ自分の中に弱く未熟な部分があり、だからこそ他人に相談をする必要があるということ。人は誰でも完璧にはなれないこと。心からそれが理解できれば、たとえ相談に対して批判や嘲笑などを感じたとしても、それは自分同様相手にも弱さや未熟さがあるからということがしっかり理解できます。
自分の弱い部分としっかり向き合い迎え入れ、その上でもう一度「相談できない」ではなく本当は「相談したい」のか「相談したくない」のかを見つめ直してみてほしいと思います。
それができるのはあなただけなんです。
しっかり自分で感情や行動をコントロールできている感覚が持てる。そんな毎日になるように応援しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。